2006年6月10日土曜日

倚松庵(いしょうあん)

昼からぶらりと魚崎の倚松庵を訪ねてみることに。ここは谷崎潤一郎が昭和11年から同18年まで住み、細雪の芦屋の家のモデルになったことで有名な場所なんだけど、モデルというよりは正にそのまんまの形で描かれているため、この小説が好きな人にとっては聖地と言っても良いくらいの場所なのだとか。かく言う私も、あまり小説の類は読まないにしては珍しく、学生時代から繰り返し読み込んで自分の中の関西に対する憧れの下地を作ったと言ってもいいくらいの作品。そんなこともあって数年に一度は来てみたくなっちゃう場所なのである。

 この家であまり語られる事のないエピソードを上げておくなら、とにかく“強運をもった家”であるということ。昭和13年の阪神大水害では最も被害が甚大だった住吉川に面していながら自然堤防の高台上にあったために被害を免れ、昭和20年6月5日の神戸大空襲で住吉川東岸が丸焼けになった折にも奇跡的に罹災を免れている。そして先の震災でも六甲ライナー建設時に解体移設された際(平成2年)、免震構造で組み直されていたため震度7の激震にもほとんど被害がなかったと、まあ、そんな曰く付きの強運ぶりなのである。そんな事を思い合わせると何か願掛けのある時に訪ねてみるのがいいのかもね(笑)


倚松庵
 神戸市東灘区住吉東町1-6-50  Tel : 078-842-0730
  ・開館日は土日のみ(開館時間10:00~16:00)、入場料/無料、
      年末年始は休館
・写真:倚松庵前に張られていた案内状 *クリックで拡大
  月2回、谷崎文学の専門家による案内が行われています

 すぐ脇を六甲ライナーの高架線が走る(2006,06,10)